エピソード8 「窓から空を」

エピソード8 「窓から空を」

窓の外を雲が流れていく
時々青空も一緒に流れていく
高い空を 右へ右へと鹿が駆けていく
低い空を 左へ左へと馬が駆けていく

向かいの屋上にたくさんいたツバメが
いつの間にか行ってしまった
そしてセキレイがやってきた
白と黒の翼で優雅に飛んでいる
駆けていた馬が象になった

しばらく見ていると
セキレイも 鹿も 象も 
日が暮れるとみんな行ってしまった
隣のベッドにいたS氏も・・・
そして雨が降り始めた


S氏とは同じ日に入院し、ベッドが隣りだった。
洒落たベトナム製のカップにお茶を入れてくれることが度々あった。
院内のケーキ店にコーヒーを飲みに誘ってくれたこともある。
そのS氏が元気がなくなり、別の病室に移った。
それでも時々姿を見かけることはあったのだが、
いつしか、S氏の姿を見ることはなくなった。
S氏は雲になって、どこかの空を駆けているんだろうか。

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